外国人雇用で使える助成金2026年版――国の制度を一次情報から整理する

「外国人を雇うと助成金が使えると聞いたが、何があるのかわからない」。このような声をよく聞きます。

外国人雇用に関連する助成金は複数の省庁・制度にまたがっており、制度の複雑さが原因で本来受け取れるはずの助成金を見逃しているケースがあります。国が設けている主要な制度を、一次情報に基づいて整理します。

この記事でわかること

  • 外国人雇用で使える国の助成金3制度の概要
  • 助成対象となる取組・対象外のもの
  • 申請の最重要ルール(事前計画届が必須)

重要前提:助成金は「後払い」かつ「事前計画届が必要」

助成金は原則として後払いです。取組を行い、実績が確認された後に支給されます。また、ほとんどの助成金で、取組開始前に「計画届」を提出し、認定を受ける必要があります。

取組を始めてから助成金を調べても遅い場合があります。 申請する前に制度の要件を確認し、事前計画届を提出してから取組を開始することが基本ルールです。

助成金①:人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

外国人労働者の就労環境整備に直接関係する代表的な助成金です(厚生労働省所管)。

目的:外国人労働者の職場定着を促進するため、企業が就労環境整備に取り組む費用を助成する

対象となる主な取組(厚生労働省公式ページに基づく)

  • 雇用労務責任者の選任
  • 就業規則等の多言語化
  • 苦情・相談体制の整備
  • 一時帰国のための休暇制度の整備
  • 社内マニュアル・標識類等の多言語化

※日本語学習機会の提供は現行ページの主な受給要件には含まれていません。外国人従業員への日本語研修は、人材開発支援助成金(記事⑩「助成金③」参照)の対象になり得る場合があります。

助成額の目安(申請前に必ず厚労省公式サイトで最新情報を確認)

  • 1制度の導入につき20万円、上限80万円

注意点:助成を受けるのは「外国人本人」ではなく「雇用する企業」です。外国人に補助金を配る制度ではなく、企業の受入れ環境整備を支援する制度です。

詳細・最新情報(助成率・上限額は毎年度改定されるため、申請前に必ず確認): https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/gaikokujin.html

助成金②:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

職業経験の不足等により就職が困難な求職者を、無期雇用への移行を前提に試用期間中に雇用する事業主への助成制度です(厚生労働省所管)。外国人も要件を満たせば対象になります。

トライアル雇用期間:原則3か月

対象となる求職者要件の例

  • 無期雇用を希望し、トライアル雇用に同意していること
  • 週30時間以上の勤務を希望していること
  • ハローワークまたは民間職業紹介機関に求職申込みをしていること

詳細・最新情報: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/trial_kouyo_20191001.html

助成金③:人材開発支援助成金

従業員に対して職務関連の訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練中の賃金の一部を助成する制度です(厚生労働省所管)。外国人従業員への日本語研修や職能訓練にも活用できます。

対象となる訓練の例

  • 職務に関連した専門知識・技能を習得させるための訓練
  • 日本語を含む言語学習(業務に関連する場合)

詳細・最新情報: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/ability_dev/index.html

助成金申請の実務的な注意点

注意点①:管轄の確認

助成金によって申請先が異なります。人材確保等支援助成金・人材開発支援助成金は都道府県労働局またはハローワーク、トライアル雇用助成金はハローワークが窓口です。

注意点②:要件の頻繁な変更

助成金の要件・助成額・助成率は毎年度改定されます。本記事の情報は2026年5月時点のものですが、必ず申請前に上記の厚生労働省公式サイトで最新情報を確認してください。

注意点③:社労士との連携

助成金の申請手続きは複雑であり、計画届・実績報告書の作成に専門的な知識が必要なことがあります。特に初めて申請する場合は、社会保険労務士等の専門家に相談することを推奨します。

よくある質問

Q:外国人を採用するだけで助成金はもらえますか?

A:採用するだけで自動的に助成金が支給されるわけではありません。各制度が定める取組(就業規則の多言語化・研修の実施等)を行い、要件を満たした上で申請することが必要です。

Q:小規模の会社でも申請できますか?

A:いずれの助成金も、中小企業・小規模事業者が申請できます。むしろ中小企業優遇の助成率が設定されていることもあります。

Q:複数の助成金を同時に申請できますか?

A:同一の取組に対して複数の助成金を重複して受給することは原則認められていません。ただし、異なる取組に対して別々の助成金を申請することは可能な場合があります。詳細は申請前に確認してください。

阿部隆昭の視点

助成金を活用するために最も重要なことは「タイミング」です。取組を始める前に計画届を提出しなければ、後から助成金を申請しても受け付けてもらえません。

「外国人を採用してから助成金を調べる」ではなく、「採用前に使える助成金を確認し、計画届を提出してから採用する」という順序が、助成金を確実に受け取るための正しい流れです。


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