外国人を雇う企業が絶対に知っておかなければならない法律があります。「不法就労助長罪」です。
2026年5月20日時点の現行法では、罰則は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、またはその併科」です。なお、育成就労制度創設に伴う改正法の施行(令和9年4月1日施行予定)後は、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金に引き上げられる予定です。さらに重要なのは、「知らなかった」という理由は免責にならないという点です。

この記事でわかること
- 不法就労助長罪が成立する3つのパターン
- 「知らなかった」が通らない理由
- 経営者・法人の両方に罰則が及ぶ仕組み
不法就労助長罪とは
入管法第73条の2は、不法就労を助長した者を処罰する規定です。処罰対象となる行為は、以下の3つに整理されます。
パターン①:事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
最も典型的なケースです。不法滞在者を雇用する、就労が認められていない在留資格の外国人を働かせる、在留資格の範囲を超えた業務をさせるといった行為が該当します。
パターン②:外国人に不法就労活動をさせるために、その外国人を自己の支配下に置いた者
宿舎を提供する、パスポートを預かるなど、不法就労させるために外国人を囲い込む行為が該当します。
パターン③:業として、不法就労させる行為またはそのあっせんをした者
ブローカーや仲介業者として、不法就労を繰り返しあっせんする行為が該当します。
「知らなかった」はなぜ通らないのか
入管法第73条の2第2項は、「不法就労活動であることを知らなかったとしても、過失があれば処罰を免れない」旨を定めています。
つまり、在留カードを確認しなかった、在留期限を確認し忘れた、業務内容と在留資格の整合性を確認しなかった――こうした「確認不足」が過失と認定されると、故意でなくても罰則の対象になります。
「外国人を採用するときに確認義務がある」という認識が経営者に求められているということです。
罰則の対象は経営者個人と法人の両方
入管法第76条の2(両罰規定)により、違反行為をした従業員(採用担当者等)だけでなく、その従業員が所属する法人そのものにも罰金刑が科されます。
つまり、採用担当者が確認を怠って不法就労者を雇った場合、担当者個人が刑事罰の対象になるだけでなく、会社にも罰金が課される可能性があるということです。
刑事罰の他にも、業種によっては行政処分が下ります。派遣業や建設業など許認可事業の場合、事業許可の取消しや営業停止処分を受けるケースがあります。
よくある摘発パターン
パターンA:在留期限切れに気づかなかった
採用時には在留資格が有効だったが、その後更新を忘れ、在留期限が切れた状態で就労が続いていたケースです。在留期限の継続管理が必要な理由はここにあります。
パターンB:留学生の週28時間制限を超えさせてしまった
資格外活動許可を持つ留学生は週28時間が上限です(長期休暇中を除く)。シフト管理が甘い飲食店や小売業で発覚するケースが多いです。
パターンC:在留資格の範囲外の業務をさせてしまった
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で採用した外国人に、単純労働(製造ラインの作業・清掃等)をさせていたことが発覚するケースです。在留資格には認められた活動範囲があり、それを大きく逸脱すると不法就労になります。
よくある質問
Q:偽造在留カードを見抜けなかった場合も処罰されますか?
A:在留カードを目視で確認し、出入国在留管理庁の照会システム(https://lapse-immi.moj.go.jp/html/top.html)でカード番号を確認するなど、通常期待される確認を行っていた場合は、無過失として処罰を免れる可能性があります。逆に、コピーだけ取って終わりにしていた場合は確認義務を果たしていないと判断されるリスクがあります。
Q:発覚した場合、すぐに解雇しないといけませんか?
A:不法就労が判明した場合、就労を継続させると不法就労助長罪が続く状態になります。即時就労停止・自宅待機の措置を取り、専門家(行政書士・弁護士)に相談することが重要です。
阿部隆昭の視点
現行法でも3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金という重い罰則が定められており、さらに今後の法改正で5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金への引き上げが予定されています。外国人雇用のコンプライアンスを経営課題として認識することが求められています。
在留カードの確認方法、在留期限の管理方法、業務内容と在留資格の整合確認を、採用フローの中に組み込んでおくことが今すぐ必要です。


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