初めて外国人を雇うときの手続き完全ガイド――採用前から入社後まで時系列で整理

「外国人を採用したいが、何をどこへ、いつまでに届け出ればいいのかがわからない」――これは外国人雇用の初心者が最もよく口にする悩みです。

日本人を採用するときと手続きの種類が異なる部分があり、抜け漏れがあると罰則の対象になることもあります。採用前から入社後まで、時系列で整理します。

この記事でわかること

  • 採用前・採用時・採用後それぞれの手続き一覧
  • ハローワークへの届出義務の内容と期限
  • 雇用契約書で外国人向けに注意すべき点

ステップ①:採用前(内定を出す前)

在留資格と業務内容の適合確認

採用しようとしている外国人が持つ在留資格で、自社の業務に従事できるかを確認します。在留カードの「就労制限の有無」欄と在留資格の種類を確認してください(詳しくは記事①をご覧ください)。

在留資格の変更が必要かどうかの確認

現在の在留資格では自社業務に就けない場合、在留資格の変更申請が必要になります。この手続きには数週間〜数か月かかることがあるため、内定後に発覚すると入社予定日に間に合わないケースがあります。採用決定前に確認することが重要です。

海外在住者を採用する場合

海外在住の外国人を日本に招いて採用する場合は、「在留資格認定証明書」の取得から始まります。出入国在留管理庁への申請が必要で、標準処理期間は1〜3か月程度です(申請内容や時期によって変動します)。

ステップ②:採用時(入社時)

雇用契約書の作成・交付

外国人労働者にも日本の労働基準法が適用されます。雇用契約書または労働条件通知書を交付する義務があります(労働基準法第15条)。

外国人が日本語を十分に理解できない場合、母国語での説明や翻訳版の提供が推奨されています。厚生労働省は主要言語での「モデル労働条件通知書」を公開しており、無料で利用できます。

確認が必要な主な記載事項:

  • 労働契約の期間
  • 就業場所・従事する業務の内容
  • 始業・終業の時刻、所定外労働の有無、休憩時間、休日
  • 賃金の計算・支払い方法
  • 退職に関する事項

社会保険・雇用保険の加入手続き

外国人労働者も日本人と同様に、要件を満たせば健康保険・厚生年金・雇用保険への加入が義務付けられています。「外国人だから加入不要」という認識は誤りです。

保険の種類加入義務の目安手続き先
健康保険・厚生年金正社員の所定労働時間の4分の3以上(週30時間目安)、または短時間労働者の適用拡大要件に該当する場合年金事務所
雇用保険週20時間以上・31日以上雇用見込みなどハローワーク
労災保険雇用している全員労働基準監督署

ステップ③:採用後(入社後)

外国人雇用状況の届出(最重要・期限あり)

外国人を雇用した事業主は、「外国人雇用状況の届出」をハローワークに行う義務があります。これは労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)第28条に基づく義務です。

届出を怠ったり、虚偽の内容で提出したりすると30万円以下の罰金が科されます。

外国人の雇用保険加入の有無届出方法届出期限
雇用保険の被保険者になる場合雇用保険の「被保険者資格取得届」に在留資格等を記載雇入れの翌月10日まで
雇用保険の被保険者にならない場合「外国人雇用状況届出書」をハローワークに提出雇入れの翌月末日まで

在留期限の継続管理

採用後も在留期間満了日を社内で管理し続けることが必要です。在留期限が近づいたら、本人が更新手続きを行えるよう早めに連絡することが推奨されます。更新を忘れたまま就労が続くと不法就労になります。

よくある質問

Q:派遣社員として外国人を受け入れる場合も届出が必要ですか?

A:派遣の場合、雇用関係があるのは派遣会社です。そのため、外国人雇用状況の届出義務は派遣会社側にあります。ただし、受け入れ企業として在留資格と業務内容の整合性を確認する義務はあります。

Q:アルバイトとして外国人を雇う場合も同じ手続きが必要ですか?

A:雇用保険の加入要件を満たさない短時間のアルバイトであっても、「外国人雇用状況の届出」は必要です。雇用形態にかかわらず、外国人を雇用したすべての事業主に届出義務があります。

Q:退職・解雇したときも届出が必要ですか?

A:必要です。雇入れ時と同様、離職時にもハローワークへの届出が義務付けられています。

阿部隆昭の視点

手続きの流れの中で経営者が最も見落としやすいのは「タイミング」です。在留資格の変更や認定証明書の取得は、着手してから許可が下りるまでに相当な期間がかかります。「採用が決まったから手続きを始めよう」では遅い場合があります。

採用選考と並行して、「この人を採用するとしたら何が必要か」を事前に把握しておくことが、スムーズな受け入れにつながります。


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