外国人を採用したいと思ったとき、多くの経営者が最初につまずくのが「在留資格」の確認です。
「在留カードを見せてもらえれば大丈夫だろう」という認識のまま採用を進めると、知らないうちに不法就労を助長した企業として刑事罰の対象になることがあります。在留資格があれば何でもできるわけではない――この前提から整理します。

この記事でわかること
- 在留カードの具体的な確認箇所
- 就労制限の4パターンと対応の判断基準
- 採用現場でよくある確認ミスと防ぎ方
- 2026年6月から始まる在留カードの制度変更
在留資格とは何か
在留資格とは、外国人が日本に滞在し、一定の活動を行うために必要な資格です。出入国管理及び難民認定法(入管法)に基づき、出入国在留管理庁が許可します。
日本に中長期滞在するすべての外国人は在留カードを携帯しています(「短期滞在」など一部を除く)。ただし、在留資格があることと「その仕事ができること」は別の話です。この区別が実務上の出発点になります。
在留カードの確認ポイント:2か所を見る
確認箇所①:「在留資格」の欄
在留カード表面の上部に記載されています。「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「永住者」「留学」など、29種類の在留資格のいずれかが書かれています。この種類によって、できる仕事の範囲がまったく異なります。
確認箇所②:「就労制限の有無」の欄
表面右下に表示されており、以下の4パターンのいずれかが記載されています。
| 表示 | 意味 | 雇用の可否 |
|---|---|---|
| 就労不可 | 原則として就労できない | 原則不可(裏面の資格外活動許可欄を確認) |
| 在留資格に基づく就労活動のみ可 | 在留資格の活動範囲内の就労のみ可 | 業務内容の確認が必要 |
| 指定書により指定された就労活動のみ可 | 「特定活動」の場合の表示 | 指定書の内容確認が必要 |
| 就労制限なし | 永住者・日本人の配偶者等 | 原則すべての業務が可能 |
「就労不可」と書かれていても、裏面の「資格外活動許可」欄に「許可(原則週28時間以内)」と記載されていれば、留学生などは週28時間以内に限り就労できます。
在留期限の確認も必須
在留カード表面に「在留期間満了日」が記載されています。この日付を1日でも過ぎた状態で就労させると、たとえ更新申請中であっても状況によって不法就労になります。
採用時の確認だけでなく、雇用継続中も定期的に在留期限を管理する仕組みが必要です。社内の労務管理システムに満了日を入力し、3か月前にはアラートが届くよう設定しておくと実務的です。
在留カードの番号を照会する方法
在留カードは偽造品が出回っています。採用時には必ず原本を目視で確認し、出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会」でカード番号を照合することが推奨されています。
照会サイト(2026年1月5日よりURLが変更されています) https://lapse-immi.moj.go.jp/html/top.html
カード番号と在留期限の満了日を入力するだけで失効しているかどうかを確認できます。なお、このサービスは毎日午後8時から午後11時までの約3時間はメンテナンスのため利用できません。
【2026年6月最新情報】在留カードとマイナンバーカードが一体化
2026年6月14日より、在留カードとマイナンバーカードが一体化した「特定在留カード」の運用が開始される予定です(出入国在留管理庁公式情報・https://www.moj.go.jp/isa/tokutei.html)。
雇用主として把握しておくべき主なポイントは以下のとおりです。
- 現在所持している在留カードは有効期限まで引き続き使用可能(即時切り替えではない)
- 特定在留カードへの切り替えは任意であり、義務ではない
- 従来通り在留カードとマイナンバーカードを2枚持つことも可能
- 新様式の在留カード等では、券面の記載事項が一部変更される予定
採用担当者は、2026年6月以降に提示される在留カードが新様式になっている場合があることを把握しておく必要があります。詳細は出入国在留管理庁の公式サイトで随時確認してください。
よくある確認ミス3つ
ミス①:在留カードのコピーだけで安心してしまう
在留カードは偽造品が出回っています。採用時には必ず原本を目視で確認し、上記の失効情報照会システムでカード番号を照合することが推奨されています。
ミス②:在留資格の種類だけ見て業務内容を確認しない
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持っていても、申請時に届け出た業務内容と実際の業務が大きく異なると問題が生じることがあります。採用後の業務内容が変わる場合は、専門家への相談が必要です。
ミス③:留学生の週28時間制限を超えさせてしまう
資格外活動許可を持つ留学生は、原則週28時間以内の就労しか認められていません。長期休暇中は週40時間まで緩和されますが、それ以外は週28時間が上限です。シフト管理が甘い飲食店や小売業で発覚するケースが多く、雇用主側も処罰対象になります。
在留カード確認チェックリスト
採用時に以下を必ず確認し、記録として保管してください。
在留カード原本を目視で確認した
在留資格の種類を確認した
就労制限の有無の欄を確認した
在留期間満了日を確認した
裏面の資格外活動許可欄を確認した(留学・家族滞在等の場合)
失効情報照会システムでカード番号の有効性を照会した(https://lapse-immi.moj.go.jp/html/top.html)
在留カードのコピーを雇用記録として保管した
よくある質問
Q:パスポートも確認する必要がありますか?
A:在留カードが発行されている中長期在留者については、在留カードが主たる確認書類になります。ただし、パスポートも合わせて確認することで偽造の検出精度が上がります。特に初めて外国人を採用する場合は両方を確認する体制をとるのが無難です。
Q:紹介会社から紹介された外国人であれば確認不要ですか?
A:不要ではありません。紹介会社が確認しているとしても、最終的に雇用するのは自社です。在留資格の確認義務は雇用主に課されており、「紹介会社が確認済みだから」という理由で処罰を免れることはできません。
Q:在留資格の種類が変わった場合はどうすればいいですか?
A:在留資格が変更になった場合、新しい在留カードを提示してもらい、改めて就労可能かどうかを確認してください。変更後の在留資格によっては、同じ業務を継続できないことがあります。
阿部隆昭の視点
在留資格の確認で最も見落とされがちなのは「業務内容との整合性」です。在留カードの記載上は問題なくても、申請時に届け出た活動内容と実際の業務が乖離している場合、問題が生じることがあります。
行政書士として在留資格申請に携わってきた経験からいうと、採用前に「この業務でこの在留資格は本当に適切か」を確認する機会を持つことが、後のトラブルを防ぐ最短ルートです。在留カードのコピーを取って終わり、ではなく、業務内容と在留資格の整合性まで確認することを習慣にしてください。


外国人雇用の在留資格についてご不明な点がある方へ
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