外国人運転手による事故はなぜ減らないのか——死亡重症事故587件と「外免切替」問題を一次ソースで読む


外国人運転手による交通事故が、2025年に過去最多を記録した。

警察庁交通局が令和8年2月に公表した「令和7年における交通事故の発生状況について」によると、外国人運転手による交通事故は7,906件発生し、過去10年で最多となった。死亡・重症事故は587件、これも過去最多だ。そのうち約3割が、外国で取得した免許を日本の免許に切り替える「外免切替(外国免許切替)」の利用者によるものとされている。

この数字をどう読むか。「外国人が危険だ」という感情論に流れるのではなく、一次ソースをもとに現状と対策を整理したい。


死亡・重症事故587件の内訳

警察庁の資料では、外国人運転者による死亡・重症事故587件のうち、「日本の免許を保有している者(外免切替を含む)」が83.1%を占めているとされている。

ここで重要な読み方がある。「外国人だから危険」という問題ではなく、「外免切替を経て日本の免許を取得した人の一部が、日本の交通ルールを十分に理解していない状態で運転している」という問題として整理すべきだ。

また、2025年時点のデータは外免切替の厳格化(令和7年10月施行)の前の数字だ。厳格化後の合格率は4割近くに低下しており、今後のデータがどう変わるかは引き続き注視が必要だ。


外免切替の何が問題だったのか

関係閣僚会議(外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議)の資料には、外免切替の問題点として以下が明記されている。

まず、海外では免許取得時に一定の居住・在留要件が課されている国が多い中、日本では観光客であっても外免切替で免許を取得できる状態だった。次に、外免切替手続きの際の知識確認(試験)が簡単すぎるという指摘が長年あった。

これを受けて、令和7年10月から外免切替の知識確認が「通常の新規免許取得時と同様のレベル」に引き上げられた。制度上の対応は一つ、すでに動いている。


平成30年から続く「啓蒙活動」の限界

関係閣僚会議の記録を遡ると、外国人運転者への交通安全対策として「交通ルールの周知徹底」が掲げられてきたのは平成30年からだ。

出入国在留管理庁では、生活・就労ガイドブックの交通セクションで日本の交通ルールを多言語で案内し、リーフレットやホームページでの周知活動を実施してきた。

しかし現場の実態として、こうした周知資料を見ない人にはどう届けるのかという課題が残る。ホームページに掲載し、リーフレットを配布しても、それを読まずに運転する人に対して有効打にはなりにくい。

対策の柱は現時点で2つ——外免切替の厳格化(実施済み)と、交通ルールの周知徹底(継続中)——だ。外免切替の厳格化がどの程度事故件数の減少に寄与するかは、今後のデータを待つ必要がある。


「外国人排斥」ではなく「事故を減らす」という共通目標

ここで一度立ち止まりたい。

外国人運転者による死亡・重症事故を減らしたいという目標については、外国人も日本人も、全員が同じ立場のはずだ。交通事故の被害者は国籍を選ばない。子どもも、高齢者も、関係なく事故の被害者になりうる。

「外免切替を厳格化する」「交通ルールの周知を徹底する」という対策を強化することは、外国人の排除でも人種差別でもない。日本で運転するすべての人が、安全に道路を使えるようにするための話だ。

この文脈を共有した上で、「では何が追加的に有効か」を考えることが、感情的な対立を避けた上での議論の出発点になる。


次の一手は何か——問いが残る

外免切替の厳格化が実施された今、それ以外に死亡・重症事故を減らすための施策として何が考えられるか。

この動画・記事の時点では、警察庁と関係閣僚会議の資料に示された対策の枠を超える「追加的な有効策」は、まだ明示的に提示されていない。引き続き検討すべき課題として残っている。

外国人問題・移民問題を論じる場合、感情的な反応ではなく、「何が問題で」「これまで何をしてきて」「何が足りないのか」を一次ソースで確認しながら考える姿勢が必要だ。この問題も、その姿勢で向き合い続けたい。

動画はこちら


参考にした公的資料・一次情報

  • 警察庁交通局「令和7年における交通事故の発生状況について」(令和8年2月)
  • 外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議「外国人の受入れ・共生のための総合的対応策」(平成30年〜令和8年各版)
  • 出入国在留管理庁「生活・就労ガイドブック(交通セクション)」
  • 警察庁「外国人運転者に対する交通安全対策」
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