在留カードの確認は目視だけで大丈夫?2026年6月対応の読取アプリと外国人雇用リスク

外国人を採用するとき、在留カードを目で見て、在留期限が残っていれば大丈夫だと思っていないでしょうか。

在留カードには偽変造や、すでに失効しているカードが使われるリスクがあります。出入国在留管理庁は、在留カードのICチップを読み取り、カードの真正性と失効情報を確認できる公式アプリを無料で公開しています。2026年6月には、同月14日から交付が始まった第二世代在留カード・特定在留カード等に対応する新しいバージョンがリリースされました。

この記事の結論
在留カードは、目視だけでなく、公式読取アプリと失効情報照会を組み合わせて確認すると、偽変造・失効カードを見落とすリスクを減らせます。ただし、アプリだけで「この外国人を、この仕事で雇ってよい」と判断できるわけではありません。

2026年6月、在留カードの確認方法も更新されました

2026年6月14日から、在留カードとマイナンバーカードの機能を一体化できる「特定在留カード」と、券面の記載事項等が見直された「第二世代在留カード」の交付が始まりました。

これに先立つ2026年6月10日、出入国在留管理庁は、新しいカードに対応した在留カード等読取アプリケーションをリリースしています。

正確には、読取アプリ自体が2026年6月に初めて登場したわけではありません。以前から公開されていたアプリに、2025年11月には失効情報照会機能が追加され、2026年6月に第二世代在留カード等への対応が行われた、という経緯です。

公式読取アプリで確認できること

在留カード等読取アプリケーションは、カードのICチップを読み取り、券面情報を画面に表示するとともに、カードが真正なものかを検証するアプリです。Windows、macOS、Android、iOS向けに無料で提供されています。

確認機能雇用時に減らせるリスク
ICチップ情報の読み取り券面だけを作り替えた偽造カードを見落とすリスク
改ざん検証・発行元検証カード情報の改ざんや、正規の発行元でないカードを見落とすリスク
顔写真・氏名等の表示提示されたカードと本人が一致しないリスク
失効情報照会返納・取消し等により失効したカードを有効だと思い込むリスク

アプリで読み取りエラーや検証結果の異常が繰り返し表示される場合、ICチップの故障や偽変造の可能性があります。本人への確認だけで済ませず、地方出入国在留管理官署への相談を検討してください。

なぜ目視確認だけでは不十分なのか

精巧に偽造されたカードは、表面を見ただけでは判断が難しいことがあります。また、カード自体が本物でも、すでに失効している可能性があります。

出入国在留管理庁の公式アプリは、ICチップ内の情報と券面表示を照合し、改ざん検証と発行元検証を行います。さらに、アプリから失効情報照会へ進むことで、カード番号が失効していないか確認できます。

外国人本人の申告と、カードの見た目だけに頼らず、国が提供する確認手段を使えるようになったことは、外国人を雇用する企業にとって重要な変更です。

外国人を雇用するときの在留カード確認手順

  1. 在留カードの原本を提示してもらう
    画像やコピーだけではなく、原本を確認します。
  2. 本人の同意を得て公式アプリで読み取る
    出入国在留管理庁の案内ページから、最新バージョンのアプリを入手します。
  3. 改ざん検証・発行元検証の結果を見る
    異常が表示された場合は、そのまま採用手続を進めないでください。
  4. アプリ画面の顔写真と本人を照合する
    カードが本物でも、提示している人物が本人とは限りません。
  5. 失効情報照会を行う
    カード番号と有効期間満了日を用いて、失効していないか確認します。
  6. 就労制限・資格外活動許可・指定書を確認する
    在留カードが有効でも、予定する仕事が認められているとは限りません。
  7. 確認日・確認者・確認内容を社内で記録する
    個人情報として適切に管理し、採用後も更新・配置転換時に再確認します。

2026年7月現在、新様式のカードの「在留期間」「許可の種類」「許可年月日」については、読取アプリでの表示が同年9月頃の改修予定と案内されています。アプリのバージョンと出入国在留管理庁の最新案内を確認してください。

アプリだけでは判断できない3つのこと

1.その在留資格で予定する仕事ができるか

有効な在留カードを持っていても、在留資格で認められた範囲を超える仕事に従事させれば、不法就労となる可能性があります。例えば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ人を、専門性を必要としない製造ラインや清掃業務を中心に働かせるケースです。

詳しくは「在留資格と実際の仕事内容が合わない場合のリスク」で解説しています。

2.資格外活動の時間制限を守っているか

留学生や家族滞在の人に資格外活動許可があっても、通常は原則週28時間以内などの制限があります。複数の勤務先がある場合は、すべての勤務先の労働時間を合計して確認する必要があります。

3.入社後に仕事内容が変わっていないか

採用時には問題がなくても、異動、店舗応援、派遣先変更、現場判断による配置転換で、在留資格と仕事内容が合わなくなることがあります。在留カード確認は、採用時に一度行えば終わりではありません。

確認しなかった企業も処罰対象になる可能性があります

就労が認められていない外国人を働かせたり、在留資格で認められた範囲を超えて働かせたりした場合、企業や担当者が不法就労助長罪の対象となる可能性があります。

出入国在留管理庁は、外国人が不法就労者であることを知らなかった場合でも、在留カードを確認していないなどの過失があれば、処罰を免れないと案内しています。2027年4月1日からは、不法就労助長罪の法定刑が「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金」へ引き上げられる予定です。

公式アプリを使った確認は、すべての不法就労リスクをなくすものではありません。しかし、企業が利用できる確認手段を使い、必要なチェックを行ったことを説明できる体制づくりには役立ちます。

採用前の確認を社内ルールにしてください

  • 誰が在留カード原本を確認するか
  • 誰が読取アプリと失効情報照会を行うか
  • 在留資格と仕事内容の適合性を誰が判断するか
  • 在留期限をどのように管理するか
  • 異動や仕事内容変更時に誰へ相談するか

採用前に確認したい全体項目は「外国人を採用すると決める前に確認する5項目」もあわせてご覧ください。

在留カードが有効でも、仕事内容の確認は別に必要です

在留カード、就労制限、資格外活動許可、指定書、実際の仕事内容を確認し、現在の在留資格で雇用できるかを整理します。採用後の配置転換や更新前の確認にも対応します。

参考にした公的資料

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