2026年10月13日確認。開始予定日と対象外の取扱いは、公開時点の公式情報に基づきます。
海外在住の外国人を採用するとき、企業は給与や仕事内容だけでなく、「いつ日本へ来て、いつ勤務を始められるか」を決める必要があります。ここで見落としやすいのが、入国前結核スクリーニング(JPETS)です。
厚生労働省は2026年9月25日、インドネシアでの運用開始を発表しました。ただし、健診を受けられるようになる日と、申請時の証明書提出が義務になる日は異なります。対象国の出身者全員に、一律に同じ手続が必要という制度でもありません。企業の採用計画に必要な点を整理します。
インドネシアは「11月2日」と「1月4日」を分けて確認する
| 国 | 指定医療機関の健診受付開始 | 結核非発病証明書の提出義務付け開始 |
|---|---|---|
| フィリピン・ネパール | 2025年3月24日 | 2025年6月23日 |
| ベトナム | 2025年5月26日 | 2025年9月1日 |
| インドネシア | 2026年11月2日予定 | 2027年1月4日予定 |
| ミャンマー・中国 | 開始に向け調整中 | 開始に向け調整中 |
これは入国日や入社日の一覧ではなく、健診受付と申請時の証明書提出に関する日程です。「11月からインドネシア人の採用ができなくなる」「1月4日以降に来日する人は全員必要」と読み替えないことが大切です。根拠:厚生労働省・入国前結核スクリーニングの制度案内、2026年9月25日のインドネシア運用開始発表。
公式FAQのQ21では、提出義務付けは申請日を基準とすると説明されています。義務付け開始日前に証明書なしでCOEを申請し、その交付を受けた場合、査証申請が開始日以降になっても、原則としてそこで新たに証明書を提出する必要はありません。入国予定日だけで判断せず、どの申請をいつ行うかを確認します。根拠:JPETS公式FAQ・Q21。
対象かどうかは、国籍・居住地・在留資格から確認する
制度上の対象は、原則として対象6か国の国籍を持ち、中長期在留者等として日本へ入国しようとする人です。しかし、開始時期が未定の国があるほか、再入国許可を持つ人や、現在の居住地が対象国外であることを滞在許可証等で確認できる人などには、対象外の取扱いがあります。
企業にとって特に重要なのは、特定技能外国人が当面の間、JPETSの対象外とされていることです。技術・人文知識・国際業務による海外採用と、特定技能による海外採用を同じ扱いにしないでください。また、JPETSの対象外であることと、その在留資格で別途必要になる健康診断が不要になることも同じではありません。根拠:JPETS公式サイト・対象者と対象外の取扱い。
採用担当者が最初に整理する情報は、本人の国籍、現在の居住国・地域、日本へ入国する予定の在留資格、再入国か新規入国か、予定する申請時期です。この組合せを確認すれば、不要な健診を案内することも、必要な証明書を後から追加することも減らせます。
証明書は、原則として在留資格認定証明書の申請時に提出する
対象者は日本政府が指定した健診医療機関で検査を受け、結核を発病していないと判断されれば結核非発病証明書の発行を受けます。提出するのは、原則として在留資格認定証明書(COE)の交付申請時です。COEを取得せずに在外公館で査証申請を行う場合は、査証申請時に提出します。根拠:JPETS公式FAQ・検査と証明書提出の流れ。
「海外の病院で健康診断を受けた」「会社指定の健診結果がある」という説明だけで、JPETSの証明書を代替できると判断することはできません。確認するのは、指定医療機関での受診と、所定の証明書の有無です。
採用計画では、本人が予約する日、受診する日、証明書を取得する日、企業側で申請資料を揃える日を分けます。入管への申請を担当する人と、本人の受診状況を確認する人も、あらかじめ決めておくと進行が安定します。
証明書の有効期間と、医療機関の更新情報を確認する
証明書の有効期間は原則として胸部レントゲン撮影日から180日です。医学的な事情によって90日となる場合もあるため、発行された証明書の期限を確認する必要があります。インドネシアの指定健診医療機関は2026年10月9日付で掲載されており、準備状況に応じて順次追加される案内になっています。根拠:JPETS公式サイト・有効期間と指定医療機関。
COEを取得してから査証・上陸の手続をする場合、証明書の有効性はCOE交付申請時に確認され、その後の査証・上陸申請を同じ証明書の有効期間内に行う必要はないとされています。「180日以内に必ず入国しなければならない」という日程管理にしないことも重要です。根拠:JPETS公式FAQ・Q17。
早く受診すれば、それだけで安心というわけではありません。本人が健診を終えた後、企業の資料準備に数か月を要すれば、証明書の期限が採用計画に影響します。予約・受診・資料収集・申請を一つの工程として管理することが必要です。
阿部事務所の実務的な視点――入社日から逆算する前に、前提を揃える
海外採用の相談では、企業が希望する入社日だけが先に決まっていることがあります。しかし、その日から逆算するには、本人側の手続と企業側の準備が、どこまで整っているかを把握しなければなりません。
弊所としては、まず候補者ごとに「JPETSの対象か」「指定医療機関へ行けるか」「証明書が申請時に有効か」「企業の資料がいつ揃うか」を確認する進め方が合理的だと考えます。その結果を踏まえて、社内の受入れ担当者、住居手配、研修開始の調整を行います。
例えば、対象となる技人国の候補者について、面接が終わったからといって直ちに渡航・勤務開始の日程を固定すると、受診や証明書取得の遅れが、そのまま現場の人員計画に響きます。これは採用担当者だけの問題にせず、現場責任者にも共有しておきたい情報です。
また、企業が必要とするのは採用手続の進行に関する情報です。診療の詳細を一律に提出させる運用は避け、対象確認や証明書の準備状況など、手続に必要な情報を中心に管理することが適切です。
よくある質問
国内で働いている外国人を採用するときも必要ですか?
JPETSは入国前の制度です。日本国内での通常の転職・更新手続に、海外から新規に呼び寄せる場合の証明書提出をそのまま当てはめるものではありません。国内採用では、現在の在留資格と予定業務の適合性、必要な変更手続などを確認します。
健診費用は会社が必ず負担するのですか?
公式案内は、スクリーニング費用を申請者自身が負担するとしています。企業が採用支援として補助するかは、別途整理する事項です。負担する項目と精算方法を事前に明示することで、来日後の認識の違いを防ぎやすくなります。根拠:JPETS公式案内。
採用を進める企業へ
外国人採用では、在留資格、本人の準備状況、企業の受入れ計画を揃えてから日程を組むことが重要です。行政書士阿部総合事務所では、海外採用の在留資格確認と申請準備について、企業側の実際の業務・採用日程も踏まえて相談をお受けしています。
外国人の海外採用・在留資格について相談する 電話:050-5881-7782

