複数の外国人が共同経営する場合の「経営管理」在留資格——入管庁文書の正確な読み方

はじめに

経営管理の在留資格を申請する際、2名以上の外国人が共同で事業を経営する場合という視点は非常に重要です。

出入国在留管理庁のウェブページ「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」には、この点に関する記載があります。しかし、読み込みが難しく、理解を途中で諦めたまま申請してしまうケースが少なくありません。

本記事では、この文書を丁寧に解説します。


入管庁の基本的なスタンス:「それぞれの外国人ごとに審査する」

複数の外国人が共同で役員に就任する場合、入管庁はそれぞれの外国人について個別に、以下の観点から審査します。

  • 従事しようとする具体的な活動内容は何か
  • 在留資格該当性があるか
  • 上陸基準適合性があるか

つまり「2人まとめて申請すれば楽になる」わけではなく、一人ひとりについて合理的な説明が求められます。


「実質的な参画」が必須要件

経営管理の在留資格に該当するためには、当該外国人が事業の経営または管理に実質的に参画していることが必要です。

「実質的」の反対は「名目上」です。入管庁が見ているのは、次のような業務への実際の関与です。

  • 事業の運営に関する重要事項の決定(取締役としての意思決定)
  • 事業の執行
  • 監査業務への従事

単に役員に就任しているだけでは、経営管理の在留資格に該当しません。


複数の外国人が経営に従事する場合の追加要件

複数の外国人が同一事業の経営・管理に従事する場合、それぞれが在留資格に該当すると認められるためには、さらに次の観点が加わります。

①「複数人が必要である合理的な理由」があるか

事業規模・業務量・売上等を踏まえて、複数の外国人が経営管理を行う合理的な理由が認められなければなりません。

事業規模の判断材料としては、以下が挙げられます。

  • 売上規模
  • 従業員数
  • 拠点数
  • 取引先数・取引実績

「この規模なら1人で十分では?」と判断された場合、なぜ複数人が必要なのかについて筋の通った説明が求められます。合理的な理由がなければ、複数の外国人が経営管理に従事することは認められません。

②それぞれの業務内容が明確になっているか

役員が複数いる場合、誰が何をするのかが明確に区別されている必要があります。「なんとなく2人で経営する」という状態では不十分です。

③それぞれが報酬を受けることになっているか

各外国人が、経営・管理業務の対価として報酬の支払いを受けることとなっているかどうかも確認されます。


入管庁による「さらに具体化した」3要件

入管庁の文書では、上記の考え方をさらに整理し、以下の3点が満たされる場合に「それぞれの外国人について経営管理の在留資格に該当する」と判断できると述べています。

  1. 事業規模・業務量を勘案し、複数の外国人が経営管理を行うことについて合理的な理由が認められること
  2. 経営・管理に係る業務について、外国人ごとに従事する業務の内容が明確になっていること
  3. それぞれの外国人が、経営・管理業務の対価として報酬の支払いを受けることとなっていること

申請を検討している方へ:実務的な含意

もし現時点で複数の外国人が共同で経営管理ビザを申請しようとしているなら、上記3要件を満たせるよう、今から逆算して準備することが必要です。具体的には次のようなアクションが考えられます。

  • 各役員の業務分掌を明確にした組織設計
  • 2人以上が必要であることを裏付ける事業規模・業務量の実態
  • それぞれの報酬が根拠をもって設定された事業計画・役員報酬規程

なお、この要件は「経営管理ビザを厳しくして排除する」という趣旨ではありません。政府が掲げる「適式に在留する外国人を歓迎する」という方針と整合しており、実態を伴った経営活動であれば認めるという考え方の表れです。


関連リソース

  • 経営管理ビザ更新許可の可能性を高めるためのアクションチェックリスト(abetakaaki.com内):更新を控えた外国人の方が、自身に不足している点を事前に把握・改善するためのリストです。概要欄のURLからアクセスできます。
  • 経営管理の在留資格に関するブログ記事:取得・更新いずれの方にも有益な情報を掲載しています。

まとめ

複数の外国人が共同で経営管理ビザを申請する場合、それぞれについて個別に、実質的な経営参画の実態が求められます。役員就任の形式だけでなく、業務内容・事業規模・報酬の3点が整って初めて、在留資格該当性が認められます。

難しく感じる部分については、専門家への相談も選択肢の一つです。


行政書士 阿部隆昭


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